2012年1月15日日曜日

『一般意志2.0』を読んだ

今年の正月休みも実家へ帰っていた。1日だけ地元の友人たちと会い、あとは本を何冊か読んで過ごした。その中に、東浩紀さんの『一般意志2.0』というのがあった。帰省前に、藤沢のジュンク堂で見かけ、Twitterで話題になっているのを思い出して購入したものだ。

この本は、GoogleやTwitterといった現代のWebテクノロジーを、ルソーやフロイトなどの過去の思想家の視点から解釈してみせる。これは、Webテクノロジーを、社会的・政治的・人間的側面から眺めてみることである。

私はプログラマだ。だから、どうしても技術的な側面ばかりに注目してしまう。もちろん、社会的側面があることはわかっている。しかし、具体的に社会にどう影響を与えたか、あるいは今後与えうるかと問われると、答えに窮してしまう。せいぜい、「10年前、20年前とはずいぶんと違った世の中になったな」としか答えられない。

この本は、ひとつのヴィジョンである。アラン・ケイのダイナブック、スティーブ・ジョブズの美しいコンピュータと同じだ。あるいは、60年前の人が空想した、原子力で動く自動車だ。未来は、この本のとおりになるかもしれないし、ならないかもしれない(多分ならない。ヴィジョンの平均値は「実現しない」である)。それでも、この本は我々の想像力を大いに喚起する。

この『一般意志2.0』だが、Amazonでのレビューは、星1つから星5つまで評価が割れている。こういう本は議論を呼ぶ。議論を呼ぶ本は面白い。私も、大いに楽しんだ。

だから、このエントリを読んでいてまだ本書を読んでいない人は、ぜひ読んでみてほしい。あなたは大いに感銘を受けるかもしれないし、東浩紀は何という大ばか者だと思うかもしれない。しかし、何も印象に残らないということはないはずだ。